正しいしつけは子どもへの大切な贈り物
子どもが相談したくなる親はどこが違うんだろう
子どもが愛されていると実感できる コミュニケーションをする
人は愛され理解されたがっている存在です。理解されないときの不満がたまるとキレることもあります。突然子どもがキレたとき、本人も親も理由がよく見えず、怒ったり苦しんだりしますが、理由はあるのです。
日ごろから相手の話をじっくり聞く、同じ目の高さで考える、深い関心を払う、といった姿勢を親が身につけることで、子どもは親に愛されている実感を得ることができます。
子どもは愛されていると感じるとき、安定した気持ちで問題に立ち向かうことができます。そして不必要に攻撃的にならず、他者や問題を受け入れることができ、大きく成長できるのです。
子どもはSOSがうまく言えない
子どもの身体や行動に現れるサインを見逃さない
いじめや不登校につながる悩みなど、子どもが心の問題を抱えたとき、それは、しばしば身体的なサインとなって現れます。
腹痛・吐き気・下痢・食欲不振・めまい・頭痛・発熱といった症状や過食・拒食・不眠といった行動などさまざまなサインがあります。サインに気づいたら、病気だと心配するだけでなく、心の問題が背景にないか考えましょう。
「気のせいだ」「わがまま」「ズル休み」というような言葉で片づけず、様子をよく見、話をよく聞き、理解しようとする姿勢が大事です。
また、かかりつけの医師や学校の先生にもよく相談してみましょう。
心理的な問題による身体 ・ 行動のサインの例 |
身体:腹痛・吐き気・下痢・食欲不振・めまい・動悸・頭痛・発熱・倦怠感 |
見えますか、子どものサイン
「いきなり型」非行の前にあるサインを見逃さない
「普通の子」の「いきなり型」非行が増えていると言われています。しかし、一見「普通の子」でも、必ずその前にサインを発しているものです。それを親が見逃したり、気にはなっていても目を背けたりしていることが多いようです。
サインに気づいたときには、夫婦でじっくり話し合い、子どもと会話を交わす糸口を見つける努力をしましょう。
子どもの問題行動には目をそらさず、必要なときには、勇気を出して、家庭教育相談・教育センター・警察の少年相談窓口・児童相談所などの相談機関や学校の先生・スクールカウンセラーに相談しましょう。
非行の前にあるサインの例 |
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万引きはゲームじゃない、犯罪だ
万引き、盗みなどの非行を許さない
「スリルや刺激を求めて」「ゲーム感覚で」「仲間がするから」といった理由で万引きなどの非行をする子どもたちがいます。しかも、その多くは「悪いことをしている」という罪悪感がほとんどありません。
親は「悪いことは悪い」とはっきり言い、万引きや自転車泥棒などはれっきとした「犯罪」であることを子どもにしっかり理解させましょう。
また、子どもが万引きなどをしてしまったときには本気で叱り、子どもとともに迷惑をかけた人にきちんと謝るなど、子どもが心から反省し、二度としない決意をするように促しましょう。
酒・タバコぐらいは大したことではない、と思っていませんか
子どもの飲酒・喫煙を許さない
20歳までは、心と身体の成長のために特に大切な時期です。未成年者は急性アルコール中毒になりやすい、未成年でたばこを吸い始めた人は、大人になってからの人よりも肺ガンにかかりやすいなど、子どもの飲酒・喫煙が多くの悪影響を及ぼすことが医学的に明らかになっています。また、飲酒・喫煙は子どもの生活の乱れを招き、薬物乱用などのさらに危険な行動につながる入口でもあります。
親は、子どもの飲酒・喫煙から目を背けたり、大したことはないと許したりせず、きちんと注意し、法律で禁止されていること、身体に害があることを、子どもが納得するようによく話し合いましょう。
「覚せい剤には手を出さない」と、子どもが自分で決めるために
薬物の危険性を親子で理解する
覚せい剤などの薬物の乱用が子どもたちの間に広がっています。その背景には、薬物が簡単に手に入るようになったことに加え、子どもたちが薬物を「エス」「スピード」と軽く呼んでいたり、「ダイエットに効く」と誤解するなど、薬物の怖さを理解せず、罪悪感が薄くなってきていることなどが挙げられます。
売る側は、都合のいいことしか言いません。親は、薬物は一度使うだけでも犯罪だという毅然とした態度をとることが大事です。そして、薬物はやめられずに依存症になってしまう危険があること、心身そして人生を崩壊させてしまうこと、本人や周囲の人間の苦悩はとても大きいことなどについて、親子で話し合うようにしましょう。
どんな誘惑があっても、親子の信頼関係が子どもを自ら守らせることにつながります。
「援助交際」なんて言葉にはだまされない
「援助交際」をさせない
「援助交際」という名の売買春が増えてきています。売春をブランド品の購入などのためのこづかい稼ぎだと割り切る考え方には、毅然として「いけない」と言わなければいけません。
また、行動の背後には、心の問題もあると言われます。学校や家庭に居場所を見つけられない寂しさなどの内面のストレスや葛藤に目を向けていくことも大切です。
子どもに愛情と関心をもち、話を聞きましょう。その際、「援助交際」は売買春であり違法であること、薬物や暴力団などの犯罪に巻き込まれる危険があること、望まない妊娠や性感染症を招くおそれがあること、将来の人生の心の重荷になること、などに気づくように働きかけましょう。
ずいぶん厳しく叱られたけど、今ではそれに感謝しています。
間違った行いはしっかり叱る
いけないことをいけないことと思わない子どもたちが増えています。
「自分さえ良ければいい」「ルールを守らない」という人は、なかなか人から信頼されないものです。間違った行いは本気で叱り、その場で正すことが本当の愛情です。
「自分の子だけ良ければいい」という考え方(自子主義)はやめ、叱るときには何がいけないのか、理由をきちんと伝えましょう。また、気分や感情に流されず一貫性をもって叱ることも大切です。
そして、親自身もルールに反することはしないように気をつけましょう。子どもに信頼され、尊敬される親であり続けるためにも。
感情にまかせて叱ることと しつけとは違う
「叱られる側」の子どもの立場も考えてみる
しつけは大切ですが、しつけなくては、という気持ちから、ついたたいてしまい、その行為に歯止めがきかなくなってしまう場合もあります。子育てのイライラやストレスが、子どもへの愛情を忘れさせ、叱るという行動にすりかわっているのではないでしょうか。
上手な叱り方のヒントは、「叱られる側」の子どもの立場にもなって考えること。「そう言われたら子どもはどう感じるだろうか」「子どもはどう受けとめるだろうか」、まずここから考えてみましょう。
子どもの心や身体を傷つけるような叱り方は、教育的な効果がないばかりでなく、児童虐待につながる可能性もあります。
特別な支援が必要な子どもがいます
発達障害の可能性も考えてみる
家庭や学校で、「コミュニケーションがうまくいかない」、「いつまでも落ち着きがない」、「漢字が覚えられない」、「社会的なルールがわからない」など、年齢にふさわしくない行動や様子が見られる場合、あるいは、学校嫌いや引きこもりの状態がある場合、LD・ADHD・高機能自閉症等の発達障害がその理由の一つかもしれません。これらは生まれつきのものであり、子育ての仕方に原因があるわけではありません。
発達や行動について心配があったら、一人で悩まず、できるだけ早く学校や地域の発達相談の窓口に相談してみるとよいでしょう。専門的なアドバイスを受けて、効果的な働きかけをすることによって、その子の困っている状態の改善が期待されます。
なお、国においても、一般国民や教育関係者に対し発達障害について正しい理解啓発や支援の充実を図るため、発達障害に関する相談窓口や各種教育情報を提供するWEBサイトを設けていますので、ごらんください 。
発達障害教育情報センター((独)国立特別支援教育総合研究所)
発達障害情報センター(厚生労働省)
幸せとは手に入れるものではなく、すでにこうして生きていることかも
環境を大切にする心を育てる
幸せとは、家族や友人がいて、空気や水があって、地球という星が差し出してくれるものに支えられて生きていること、ともいえます。幸せになるのに必要なのは、当たり前の生活の中ですでにある幸せに気づき、感謝し、それを味わうことです。
感謝の気持ちから、ものを大切にしてゴミを減らす、海や山でゴミを捨てない、水や電気を無駄遣いしない、などを小さいころから習慣づけることが大切です。そうした身の回りの小さなことの実践が、環境を大切にする心をはぐくみます。
だれも一人だけでは生きられない
社会性を身につけさせよう
私たちは皆、助けられ支え合って生きています。当たり前のことですが、同年齢の友人や先生や家族に囲まれて生活している子どもには、このことは気づきにくくなっています。休日に、地域の活動やボランティアなどに親子で進んで参加してみましょう。子どもの成長に応じて、自分でできることを見つけ、行動していく機会を与えることは、子どもにとって「自分は社会の一員だ」という意識を高めることにつながります。また、いろいろな大人と一緒に活動することは、将来の進路や生き方を考えていく上でも、社会のルールを知っていく上でも貴重な機会です。
違う考え方や価値観に出会い、我慢したり譲ったり交渉したりする経験の中で、社会性が身につきます 。
(文部科学省発行 「家庭教育手帳」より )