人は夢を育て、夢は人を育てる。
夢をもつと、人は強くなる
子どもの夢や希望に耳を傾け励ます
今の子どもは冷めていて、将来の夢や希望ももたず、難しい目標はチャレンジする前にあきらめてしまうと言われています。しかし、子どもは子どもなりに夢や希望をもっています。どんなに小さく、どんなにヘンに思えるものでも、その夢や希望に耳を傾けましょう。
また、自分の経験や、長い間にわたって苦労して夢を実現した人々の生き方などを折にふれて話しましょう。そして人生の目標は汗を流し、失敗を重ねながら達成していくものだと、励まし、あたたかく見守っていきましょう。
親は子どもの応援団です。
自分で考え自分で行動できる人に育ってほしいなら
過保護や過干渉はやめる
子どもの進む先の障害物を先回りしてどけたり(過保護)、一挙一動にあれこれ指示をしたり(過干渉)するのではなく、子どもが好きなものを見つけるまで待ち、できるだけ子どもの力を信頼し、それを見守り、力づけましょう。あれこれしないで見守ることは、モノを買ってやったり何かをしてやったりするより、ずっと難しく愛情がいることです。
また、親は自分が子どものために考えたことは正しいと思いがちですが、必ずしもそうとは限りません。自分の思いや考えを押しつけるのではなく、「あなたはどう思う?」と、まず子どもの言い分をじっくり聞き、子どもの気持ちをしっかり受け止めてから、「自分はこう思うんだが」と、一緒に考え一緒に学んでいく姿勢が大切です。
子どもが自分で考え、勇気をもって行動し、達成感を味わう、または失敗から学び強くなるチャンスなどを子どもから奪わないように気をつけましょう。
同じ子どもなんて一人もいない
他の子との比較にとらわれない
テストで何点とったか、どれだけ何々ができるかなどと、他の子どもや平均値との比較に目を奪われ、自分の期待から子どもを評価することは、子どもたち一人一人の個性や成長のために良くありません。そういう親の下では、子どもまで相対的な順位ばかりを気にするようになったり、自信をなくしたりしがちです。親は、比較して不安になるのではなく、どんなときも子どもの個性と成長を信じ、ゆっくりゆったり育てたいものです。
ダメなところを責めるより、良いところを増やしていこう
良いところを見つけてほめる
子どもに大切なのは、自信と、自分を大切にする力です。それは植物の根のようなもので、深く広く張るほど大きな実りをもたらします。表面的なことにとらわれることなく、その子が大きく育つことを信じて心に豊かな水や栄養を与えましょう。
そして、その水や栄養となるのが、子どもの良いところを見いだし、ほめることです。叱るべきときは叱り、ほめるべきときはきちんとほめる。また親の思い通りの方向ややり方で子どもが行動しなかったとしても、その子なりの工夫や考えは見守り、認めることも大切です。発達に応じて、子どもに任せる部分を次第に増やしていくことで、子どもは自らの成長を実感し、自信をもつことができます。
学校へ行けない子どもの苦しさって、どんなだろう
不登校には心にゆとりをもって対応する
不登校の子どもは、心の成長の助走期にあり、家族をはじめ周りの人は、ゆとりをもって対応する必要があります。
不登校がはじまっても、強く叱るなどして登校を強制したり、すぐに専門家だけに任せてしまうべきではありません。不登校の起こった原因や背景を知るためにも、まずは親が落ち着き、子どもの訴えに対して十分に耳を傾ける必要があります。親があわててしまうことは、子どもにとっても大きなストレスになるからです。
不登校の子どもの多くは「学校に行きたいのに行けない」という葛藤を抱えています。まずは家庭を、子どもがくつろぎ、安心できる居場所とするよう心がけましょう。
不登校の克服には、さまざまな道筋があります。子どもの個性にあわせて、どのような方向をとるか、一緒に考えながら柔軟に対応していきましょう。もちろん、学校や地域の相談機関などにも連絡を取りつつ対応することも大切です。
一人でもわかってくれる人がいれば生きていける
子どもの自殺を防止する
子どもが、いじめなどで苦しみ、耐えきれずに自ら命を絶つようなことは決してあってはいけません。
親は、子どもをよく観察し、よく会話をし、いじめられたり、思い悩んだりしていないか、細心の注意を払いましょう。何かに気づいたときは、落ち着いて子どもの話をじっくりと聞き、気持ちをありのままに受け止め、苦難を乗り越えていく勇気と愛情を与えましょう。
また、学校もいじめをなくすために真剣に努力しています。担任の先生が対応することで半数近くはいじめられなくなっており、それでいじめが悪化するようなことはわずかしかありません。いじめられた子を守るため、場合によっては、クラス替えや転校することも含めて、何ができるか相談しましょう。
話せばきっとだれかが力になってくれるから、苦しみは自分だけで抱え込まずに、勇気を出して、家族や先生、友人などに相談するよう、子どもと日ごろからよく話し合っておきましょう。
子どもにとっての「いい学校」って何だろう
行き過ぎた塾通いを考え直す
「いい学校に行き、いい会社に入れば、幸せになれる」という時代は終わりつつあります。これからは、学歴より、自ら学び自ら考える「生きる力」を身につけることが求められます。
学習塾など、学校以外でも学びの場はありますが、イヤイヤだったり、翌日に疲れが残るような塾通いは、子どもから元気を奪います。さらに、心の成長に大切な友人との遊びや、さまざまな体験をする機会を減らすことにもつながります。
また、他の子どもや平均値との比較に目を奪われる家庭の雰囲気は、心の成長をゆがめかねません。子どもを見つめ、その個性に応じてじっくり時間をかけて育てることが大切です。そして、塾通いがほんとうに子どものためになるのか、塾通いが過度になっていないか、もう一度考えてみましょう 。
(文部科学省発行 「家庭教育手帳」より)