愛は、家庭で教わらなかったら よそで学ぶのはムズカシイ
ピンチのときこそ、家族の絆が試される
子どもが、人を思いやり、豊かな人間関係を築いていくためには、まず、思いやりのある関係を家族でつくることが大切です。子どもが自らの生活する世界を広げていくためにも、家族のいたわりや思いやりが必要でしょう。
また、夫婦や親子の間で、日ごろからいたわりの言葉を交わすことが大事です。特に悩みや葛藤に直面したときに、いたわり、慰めることが、困難に立ち向かう勇気や力をはぐくみます。さらには、人との友好的な関係を築く力をはぐくむことにもつながるでしょう。
子どもは親の姿を見て学んでいく
親が率先して祖父母を大切にする
親に感謝し、親を思いやる心は、広く他人を思いやる心の基となる大切なものです。まず親が自らの親である祖父母を大切にする姿を見せることを心がけましょう。
大人たちは、自らの親への接し方や、思いやりのある社会のために何が必要かについて、子ども自身から問われているのだということを考えましょう。
人からもらう幸せだけでなく、人のためにできる幸せもある
親が率先して人助けをする
「バスや電車で体の不自由な人やお年寄りに席をゆずること」を小・中学生の60%は「していない」「あまりしていない」と答えています。人を思いやり、行動する愛情や勇気をもった人に育てるために何ができるでしょう。
思いやりの心は、幼少のころからの日常における実践を通してはぐくまれます。まず親が率先してやってみせながら、子どもたちが自然に妊婦や高齢者に席を譲ったり、障害のある人などが困っているときに声をかけたりすることができるようにしつけを行うことが大切です。
みんなそれぞれが世界でたった一つの命なんだ
身近な人の死を目の当たりにすることが少なくなったり、殺人を繰り返すテレビやゲームなどで虚構の死に慣れたりして、命の重さやかけがえのなさを感じにくくなっています。
自然の中で遊ばせたり、動物や草花を大切に育てたりするなど、さまざまな生き物とその死にふれる機会を意識的に用意し、子どもに生命の尊さや大切さを実感させましょう。
また、亡くなった人の家族や傷つけられた人の気持ちを想像させるなど、その悲しみがどんなに深いものかを理解させましょう。
いちばんすてきな本は、お父さん・お母さんの声で読む本だ
親が本を読んで聞かせる
親のぬくもりを感じながら優れた絵本に接し、一緒に共感し合うひとときは、子どもの感性や心を豊かにする責重な時間になります。
食事の時間のように「本の時間」を設けるなど工夫して、少ない時間でもいいから毎日本を読み聞かせたり、親子で一緒に図書館へ行く、読み聞かせ会に参加するなど、小さいころから本に親しむ環境づくりを心がけましょう。
ただし、早くから難しい本を読ませるのは子どもの心にストレスを与え、かえって本嫌いにさせかねないので、控えましょう。
誰もがよりよく生きようとしている
障害がある人もない人も大切な仲間であると教える
見えにくい、聞こえにくい、うまく話せない、発達に遅れがある、身体が不自由であるなどの障害がある子どもたちがいます。
障害がある子もない子も皆、よりよく生きたいと願っている「大切な仲間」です。
障害があっても社会で活躍している人がいることなど、日頃から家庭の中で子どもに話していきましょう。
人を差別するような子にはなってほしくない
差別をしない偏見をもたない子に育てる
親は、子どもがいじめに加わったり、他人を差別し傷つけていることに気づいたときには、それが人間として恥ずかしい行いであることを教える責任があります。
その際、理屈であれこれ言うより、子どもを愛していること、すてきな人に育ってほしいこと、弱い者をいじめたり差別したりするのを見てショックだったこと、人が傷つくのを喜ぶことに怒りを感じたこと、二度としてほしくないこと、など親としてのほんとうの気持ちを伝える努力をしましょう。
また、まず親自身が偏見をもたず、差別をしない、許さないということを、子どもたちに示していくことが大切です。
(文部科学省発行 「家庭教育手帳」より)