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Vol.30 相談3「便秘・お腹の調子」

最終更新日:2012年11月25日

コウベイ 今回は前回の続きということで便秘についてお話しします。

 便秘といっても大人の便秘とこどもの便秘はだいぶ異なります。こどもと一口に言っても、赤ちゃんと中学生では全然便の回数も違いますから、便秘にはこの漢方、などと簡単には言えません。

 赤ちゃん、つまり乳幼児の場合ですが、よく小児科診療では、便がなかなかでない、いつもきばってつらそう、おしりが切れて血が出る、などという訴えで受診されたり、健診のときに質問されたりします。乳幼児の便通改善には、小柴胡湯(ショウサイコトウ)をまず服用していただくことが多いでしょう。小柴胡湯を服用することで、排便が自然になり、さらに哺乳力や離乳食の食べ具合が改善することもよく見受けられます。もう少し大きくなって、未就学児から小学校低学年くらいであれば、小柴胡湯でもよい場合がありますが、飲みやすさを重視して、甘めの味の小建中湯(ショウケンチュウトウ)黄耆建中湯(オウギケンチュウトウ)あたりを用いる機会が増えるように思います。飲めれば大建中湯(ダイケンチュウトウ)でもよいでしょう。これらは建中湯類と呼ばれたりしますが、中=中焦(ちゅうしょう=消化器)のことで、すなわち消化器を健やかにする、というような意味と考えて頂いてよいでしょう。何度かコラムに登場していますが、飴が入っているので小児でも飲みやすいグループです(大建中湯は山椒も入っていてちょっとピリリとするかも知れません)。

 もう少し高学年になると、便秘というよりも腹痛を訴えて困るかも知れません。前回コラムに書いたように、ストレスが誘因で便性が変化します。下痢と便秘が交互に現れたり調子が崩れたりと、過敏性腸症候群といった病態の場合も少なくありません腹痛が目立てば小建中湯桂枝加芍薬湯(ケイシカシャクヤクトウ)もいいかも知れません、と書きましたが、またこれにダイオウを追加した、桂枝加芍薬大黄湯(ケイシカシャクヤクダイオウトウ)などと、便秘が主体でも同じように考えます。もちろん思春期で常にストレスを抱える高校生くらいなら四逆散(シギャクサン)をベースに使うなども、同じように考慮します。

 大人で考えれば、大承気湯(ダイジョウキトウ)桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)調胃承気湯(チョウイジョウキトウ)といった、承気湯類といった方剤も使う機会が増えていきます。承気=ガスが溜まって腹がはるのを改善する、という感じの意味です。ほかにも、単純に大黄甘草湯(ダイオウカンゾウトウ)麻子仁丸(マシニンガン)潤腸湯(ジュンチョウトウ)なども使うことがあります。

文責 三重大学附属病院漢方外来担当医・小児科専門医・医学博士 高村光幸

《参考資料》
小児疾患の身近な漢方治療(日本小児漢方交流会編・MEDICAL VIEW)
漢方診療ハンドブック(桑木崇秀・創元社)

《写真提供》
株式会社ツムラさんのご厚意による

お問合せ先

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電話番号:0776-20-5270/FAX番号:0776-20-5490
最終更新日:2012年11月25日

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