夏の暑さに負けず元気いっぱいの子ども達は、園庭に出ると、すぐに虫探しが始まり、葉っぱの裏や大きな石の下、草花の隙間を覗き、アリやダンゴムシを一生懸命に探しています。もちろん、苦手な子もいますが、そんな子も「虫がいたよー」と聞こえると、興味津々の様子で集まってきます。虫探しを通して子ども達の学びがたくさんあります。今回は、その中のエピソードの一つを紹介します。
<セミの抜け殻からのエピソード>
4歳児クラスの子ども達が、高い木の葉っぱの裏についているたくさんのセミの抜け殻を見つけて大興奮。
葉っぱからとった抜け殻を見てみると
「なんか背中に白いの付いてる!」
「鼻(額)のところはフワフワしてる!」
「目のところはツルツルだね」
といろいろなことに気付いていました。
地面を見ると、穴がいっぱい開いていることを発見!「これ、なんの穴?」「アリの巣かな?」と関心を示し、「ここにもある!」と見つけたり数を数えたりしているうちに、穴のふちにも抜け殻があるのを見つけました。「これってセミの幼虫が出てきた穴なんだね。」と気づき、友達や保育士に知らせていました。
すると、穴の深さはどうだろう?と疑問に思い、穴の中に植物のつるや木の枝を入れて調べる子もいました。子どもの発想って面白いですね。「こっちの方が長いね」と穴に入れたつるの長さの比べっこが始まり、穴の深さがどれも同じではないことにも気付いていました。
木にとまっているセミを見つけると、早く捕まえたくて「先生、抱っこして!」と高い所のセミに手を伸ばし捕まえます。「うわっ、おしっこかけられた!」とハプニングがありながらも、セミを捕まえると嬉しそうな様子で、「私も触ってみたい」とみんなで順番に触る姿も見られます。
また、ジタバタと足を動かすセミを見て「太鼓をたたいているみたい!」と言う子も。子どもの気づきや表現力にはいつも驚かされます。以前は「やだ、こわい~」と抜け殻を触ることも躊躇していた子も、今ではセミを捕まえてニッコリ。
友達と興味を深めていけることって素敵だなと感じました。
生きた虫に関わることには、探したり見つけたり捕まえたりするワクワク感や体や動きを観察することで気づく面白さ、飼育する中で世話をする喜びや責任感、命について考える機会がもてるなど、さまざまな魅力があります。よく『昆虫好きは頭がよくなる』と言われていますが、自然と親しみながら虫の生態系や不思議さに興味を持ち、学習意欲を育むことができるからでしょうね。
子どもの感性は日々、まわりの人の感性や感覚に刺激を受け、成長していきます。子ども達がいろいろなものを見たり触れたりする中で、不思議に思ったり、考えたり、試したりする姿に寄り添い大切にしていきたいと思います。虫が苦手なお家の方もいらっしゃると思いますが、ぜひ、お子さんと一緒に身近な虫に目を向け、子どもの「夢中」に付き合ってみてください。
森田浜保育園 大森美和