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Vol.37 漢方基本編・基礎2(日本の漢方医とは何か)

最終更新日:2013年6月25日

ソウジュツ  日本の漢方医師が現代西洋医学における疾患の自然経過を理解し、その標準治療を認識・実践しつつ、必要に応じて漢方治療を行うということがどう重要で、しかもなぜ魅力なのか。それはすなわち、同じ医師が選択的に西洋医学と東洋医学の両方の治療法を併用できる、いわゆる統合医療を行えるところです。

 西洋医学のみで対処できるものはそれでよし、西洋医学で十分治療できないものに漢方を併用して、十分な治療レベルにもっていく、また西洋医学の副作用やアレルギーがある場合に漢方で対処する、もしくは漢方のみで治療する、などの選択が医師の頭の中で広がるわけです。当然、時期によって両方を使い分けることも可能です。これは日本の医師免許制度と皆保険制度の賜物であります。現在、混合診療(統合医療とは言葉が似ていますが、全く違う概念です。保険のきく医療と保険のきかない医療を同時に行うことが混合診療です。統合医療は西洋や東洋など、考え方の異なる医療を併用することで、保険の範囲で十分可能ですが、当然保険外のものもあります)の規制緩和が論じられていますが、現時点での日本の医療制度でも、十分西洋東洋両方の恩恵にあずかることができているのです。当たり前になると人はそれをありがたく感じなくなるものです。空気の存在は、空気がなくなって初めて気づくのですから。今、日本医療界は批判こそされるものの、日本並みのスピードでレベルの高い医療を身近に受けられる国はほとんど無いのです。アメリカなどの先進国でもそれは当然のことではないのです。さてまあ、ここで医療制度について延々と論じるわけにはいきません。とにかく、恵まれた環境を有効に使おうではありませんか。

 しかしながら、医師のほうが今までお話した良い点を理解していない場合もあります。以前私が、ある医師会で漢方理論の講演を依頼されたのですが、終了後の質問の時間で、ある医師から、「漢方の理論はわかったが、漢方のどの処方のどの生薬がどこに効いているかわからないから使う気にならない」、と言われました。おおかた、漢方を知らない医師にはこう言われます。しかしその同じ講演会に、医師や看護師ではない、一般職の方も来て頂いていて、その方々からは、明日から私でも漢方が処方できるかもしれない、と言われました。これは実に面白い。西洋医学でもはっきりどこに効いているかわからない薬は山ほどあるのですが、それは何とも思わないで出すのに、自分が認めない漢方は出さない、という医師は、自ら患者さんに対する選択肢を減らしているのです。患者さんにとってこんな不幸なことはない。一般職の方の言葉は、つまり、病気になったときにどれを使って治ろうが治ればいいんじゃない、という、ごく普通の人間の発想が背景にあるわけです。日本の医師免許があれば漢方を勉強して治療に用いることができて、それは医師としての技を増やす事と同じですから、何がどうなってなどということにこだわり続ければ、永遠に漢方を処方することはできないでしょう。別に漢方を優先するわけではなくても、西洋医学の足りないところに使えればそれがベストだと信じています。なにせ相手は無数の病気、それらは原因も不明なものが多いのですから。

文責 三重大学附属病院漢方外来担当医・小児科専門医・医学博士 高村光幸

 《参考資料》 

わが漢方の師である安井廣迪の講演録など 

《写真提供》

株式会社ツムラさんのご厚意による

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最終更新日:2013年6月25日

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