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Vol.24 子どものトラブルと漢方(その6、立ちくらみ、起立性調節障害)

最終更新日:2012年5月25日

天麻(テンマ)

 立ちくらみ、といえば誰しもが経験しますが、正しい定義はどうなっているでしょうか。医学辞典から抜粋改変すると、立ちくらみとは意識を失いそうになる感覚のことで、実際に意識を失うのは失神と呼ばれ、ともに脳幹への血流不全により引き起こされる。迷走神経反射、起立性低血圧によるものの頻度が高い、症候論的にはより広義の概念であるめまいを、回転性めまい(グルグル)と非回転性めまい(フワフワ)に分類するが、患者によってはこれらを混用して訴えることがある、となっています。よく一般に貧血、といってふらつく症状のことを指す場合がありますが、実際は脳貧血というものを略して呼んでいるわけで、本来の貧血(血液中のヘモグロビンが少ない)とは異なり、上記のように相対的に頭の方へいく血流が一時的に少なくなるために起こる症状というわけです。

 迷走神経反射とは、心臓の拍動数を下げるほうへ働きかける迷走神経のスイッチが不用意に入ってしまうため、脈拍や血圧が下がって、結果的に頭へ行く血液が一時的に減るという事です。痛みや空腹、精神的ショックが引き金になったり、起立したりすることで起こりえます。本来は座ったり寝ていたりする姿勢から起立するときには、血圧を調整して高い位置にある頭に血液を送らなければならないのに、それがうまく起こらず、血圧が下がってしまう状態を起立性低血圧といいますから、起立性低血圧は迷走神経反射で起こるものも含まれるわけです。このようなことが度々起こって、立ちくらみやめまいが出る、他に朝起きられない、倦怠感がある、不定愁訴(原因のわからない訴え)をもつような状態を、小児科では起立性調節障害と呼びます。

 思春期で、朝起きられず、朝会などで長く立っていることができない、頭痛がよく起こる、眠れない、などの問題を抱えている子ども達がいます。怠け者、と周囲に思われている場合が多くありますが、起立性調節障害のせいかも知れません。能動的起立負荷試という検査や問診で診断します。診断されれば、生活指導や血圧を調整するような薬を使うのが一般的ですが、漢方もこれに寄与することができるでしょう。半夏白朮天麻湯(ハンゲビャクジュツテンマトウ)苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)といっためまいによく用いられる方剤や、柴胡桂枝湯(サイコケイシトウ)、柴胡加竜骨牡蛎湯(サイコカリュウコツボレイトウ)、補中益気湯(ホチュウエッキトウ)あるいは抑肝散加陳皮半夏(ヨクカンサンカチンピハンゲ)などの、精神的側面へ関与する方剤がその適応となるでしょう。

文責 三重大学附属病院漢方外来担当医・小児科専門医・医学博士 高村光幸

《参考文献》
今日の診療プレミアムVol.20(医学書院)
漢方診療医典(大塚敬節ら著・南山堂)
小児疾患の身近な漢方治療6(日本小児漢方交流会編・メジカルビュー)

《写真提供》
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最終更新日:2012年5月25日

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