福井市結婚・子育て応援サイト「はぐくむ.net」 福井市結婚・子育て応援サイト

福井市結婚・子育て応援サイト福井市結婚子育て応援サイト「はぐくむ.net」

Vol.13 虚弱体質と漢方

最終更新日:2011年6月25日

オウギ 前回、六味地黄丸(ロクミジオウガン)という処方が、発達が遅い、生まれつき体の弱い、漢方的に腎虚(じんきょ)と呼ばれる状態のお子さんに使うことがあると書きました。五臓六腑の腎が生まれ持った生命エネルギーと関係あるということでした。虚弱体質という言い方をすれば、体格はそれなりでも、風邪を引きやすい、なにかと調子を崩しやすい低年齢のお子さんについて、そういう風に呼ぶこともありますね。小建中湯(ショウケンチュウトウ)黄耆建中湯(オウギケンチュウトウ)を用いたり、補中益気湯(ホチュウエッキトウ)を用いたりすることで、このような虚弱体質児に対し、抵抗力をつけさせることがあります。これらの処方は、いずれも「中」という文字が入っています。中は中気といって、五臓六腑の脾胃、すなわち消化機能を表すと考えて下さい。この中気(消化機能)を立て直したり(建中)、補ったり(補中)するという名前のお薬ですから、胃腸のパワーを強くするのが主たる目的のものです。生まれ持った生命エネルギーである腎の「気」の他に、生命を維持していくための脾胃の「気」ですが、これのもとは日々の飲食物と考えられています。ところが飲食物は、体にとって外から取り入れるいわば異物でもあるわけで、特に母乳から離乳食、普通の食事へと、様々な抗原性のある物質に触れる乳児期の腸管は、未知の物質にどんどん対応していかないといけないわけです。この時期に腸管の免疫系が非常に発達します。したがって、これが正常に機能しないと、きちんと脾胃の「気」が生成されず、いろいろなアレルギー症状、体調不良がでるのではないかと考えられています。アトピー性皮膚炎も、そのうちのひとつです。特に1歳未満のアトピー性皮膚炎の患者さんに対しては、消化機能を健全にする上記のような薬剤を、第一の基礎方剤として私は考えています。昭和の漢方の大家では、消化機能に働く方剤として、六君子湯(リックンシトウ)を小児に用いている例も多く見られます。

 風邪を引きやすい上に、扁桃が腫れやすいとか、リンパ節が腫れやすいといった場合にも漢方が役立つことがあります。小柴胡湯(ショウサイコトウ)柴胡桂枝湯(サイコケイシトウ)柴胡清肝湯(サイコセイカントウ)などが候補にあがります。特に柴胡桂枝湯は、小児領域でもよく説明のつかない難解な病態に用いることで、不思議と解決に結びつくことがあると、漢方医の師匠に教わりました。柴胡桂枝湯は、数ある処方の中でも非常に重要で多くの方剤の基礎にもなっている小柴胡湯桂枝湯(ケイシトウ)という、2種類の方剤の組み合わせであり、非常に興味深い処方であります。私は産業医を兼務していた会社の診療で、腹証(漢方独自の腹部診察法によって説明される特徴)にて適応があると思われた、流行性胃腸炎の成人男性の数症例に柴胡桂枝湯を処方し、速やかな効果を認めた経験があります。腹証というのは、日本の漢方で特に発達した診察によるパターン分けで、おなかの所見だけで有効な処方が決まってしまう場合があります。時間に限りのある日常診療では、問診などだけでは診断に迷った際に、腹証を頼りに処方を決定することもしばしばです。 

 文責 三重大学附属病院漢方外来担当医・小児科専門医 髙村光幸

《参考文献》
医学生のための漢方医学基礎編(安井廣迪・東洋学術出版社)
漢方診療医典(大塚敬節ら著・南山堂)
漢方方剤ハンドブック(菅沼伸監修・菅沼栄著・東洋学術出版社)
活用自在の処方解説(秋葉哲生著・ライフサイエンス)

《写真提供》
株式会社ツムラさんのご厚意による

お問合せ先

福井市 福祉部 子育て支援課
電話番号:0776-20-5270/FAX番号:0776-20-5490
最終更新日:2011年6月25日

▲ ページの先頭へ戻る