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Vol.1 予防接種の実施する中で知っておきたいこと

最終更新日:2010年4月14日

スケジュール

 歴史的に予防接種はジェンナーによる牛痘種痘(1796年)に始まっていることは広く知られている。以来200年余を経過して、予防接種はますます子どもの医療、育児、教育の面で重要なことである。育児に関わる多くの人達はその大切さを充分認識して理解していただけることが望ましい。特に新しくお子さんの出生を迎える人達、及びその関係者には改めて、健康について認識頂き予防接種に充分な意識と知識を持って下さることをお願いしたい。

 これからのお子さんの時代は、健康は他から与えられるものではなく、日常生活の中で自分や家族が病気にかからないように、また人にも病気をうつさないように努力していただくことが必要である。

 最近、予防接種の種類が多くなり、多様化しているので夫々の予防接種について全体の一覧表を参照に、なるべく解り易く説明を加えたい。

1. ワクチン

ワクチンは大変種類が多くなり、年齢も多様で解りにくいと思われますので、分類して説明する。スケジュール表を参照ください。

生ワクチン

生きた菌であるが毒力を失くしてある。
B・C・C MR ポリオ 水痘 おたふく など

不活化ワクチン

加熱その他により、死菌となったものを基としている。
三種混合 日本脳炎 インフルエンザ B型肝炎 ヒブワクチン 小児用 肺炎球菌 子宮頸がんワクチン その他

2. 種類の条件

A:定期接種…公費負担により定められた期間内で受けるもの
B:任意接種…全額自己負担で受けるもので今後定期接種に移行することが望ましい
※ 対象年齢、時期、回数が夫々の接種によりおおよそ決められてる
A:定期接種ワクチン
BCC 3種混合ワクチン ポリオ MR 日本脳炎
B:任意接種ワクチン
おたふくかぜ 水痘 インフルエンザ ヒブ 小児肺炎球菌 子宮頸がん 破傷風トキソイド 狂犬病 その他あり

3. 接種方法・時期

主として皮下注射、筋肉内注射、ポリオは経口投与にて行なわれる。
時期は、生後1ケ月よりおおよそ6歳まであるが、予防接種の種類により年齢の区分がある。
スケジュール表参照

各予防接種について

A:定期接種ワクチン注射のイラスト

 B.C.C(生ワクチン)

結核菌の弱毒生ワクチンである。
早期(生後3ケ月~6ケ月)に行うことが原則であり、当初接種のトラブルの報告もあったが、現在は殆どない。
 

 ポリオワクチン(生ワクチン)

1988年よりポリオの制圧事業により、世界各国でほとんど消滅したとされているが東南アジアやカンボジア等は、尚ポリオ常在国とされている。
旅行者はワクチン接種が特に必要である。

三種混合ワクチン(百日咳、ジフテリア、破傷風混合液)(不活化ワクチン)DPT

百日咳は1980年以後20年余で激減、年間1000人余と報告されている。
ジフテリアの報告は殆どなし。
破傷風は年少者の発症は殆どなし。
注射による効果とされるこの注射は(4階実施)一般的に多少の局所反応がみられたが最近は少なくなっている。

MR(麻しん、風しん)ワクチン(生ワクチン)

1歳と就学前、中学1年、高校3年の4回が公費対象となっている。
麻しんの撲滅が近いとされているが、尚、成人前後又は大学生などの麻しん集団発生がみられた。第3期(中学生)第4期(高校生)の注射が徹底されることが望ましい。妊婦の妊娠初期の先天性風しん症候群といわれる多発奇形の出生がいられることがある。と言われるが、最近は報告が見られないので危険度は非常に少ないと思われる。

日本脳炎ワクチン(不活化ワクチン)

日本脳炎は豚などの体内で増えたウイルスが蚊によって妨介される夏期の伝染病であるが、最近の発生は大変に稀といわれる。
予防接種によって、副反応に問題があるといわれるが、平成22年3月より新ワクチンの接種が可能であるので副反応の問題も少なくなると思われる。

B:任意接種ワクチン

インフルエンザワクチン(不活化ワクチン)

Ⅰ:季節性インフルエンザ
 毎年10月11月頃、季節性インフルエンザワクチンを実施する。
平成21年度秋には、新型インフルエンザ流行の中で、季節性インフルエンザは少なかったと想定されるが、今後、例年のような多発の流行も想定され対応も充分すべきである。
Ⅱ:新型インフルエンザ
 平成21年度には、夏より新型インフルエンザが流行し、新型に対応するワクチンの接種が行われた。しかし、製造に時間を要した結果、予防の効果は後手になったと思われる。
今後、更に新しい型のインフルエンザが世界的に流行する可能性があるだろう。
その状況を早く捉え、予防接種への対応が国際的レベルでなされるべきである。

おたふくワクチン(生ワクチン)

おたふくかぜの合併症として
  • 無菌性髄膜炎は3~10%の発生頻度で予後は良好で後遺症は殆どない。
    しかし、脳炎の発生頻度は0.3%以下であるが、予後は不良で治癒後も後遺症のおそれがある。
  • 睾丸炎・小精子化症・卵巣炎・乳線炎等があり、治療困難な場合もある。
  • 難聴も一度起こると、治療は困難なことが多い。


    * いろいろの合併症や、その予後を考えるとおたふくワクチンは有効であり、接種は必要であると思われるのですすめたい。

みずぼうそうワクチン(生ワクチン)

水痘の軽症化には有効なワクチンであり、帯状疱疹の軽症化にも有効とされる。
水痘の 痕は治療には皮膚科的治療が必要なことがある。
又は、水痘のウイルスでおこる帯状疱疹の発生率が減少されると期待される。

 ヒブワクチン(不活化ワクチン)

主としてインフルエンザB菌(Hib)による細菌性髄膜炎と喉頭蓋炎を予防するワクチンである。
三種混合ワクチンを同時に、生後3ヶ月より3~8週間隔で3回、1年後に4回目。
生後2ヶ月より開始も可能である。


* 小児肺炎球菌ワクチン、三種混合ワクチンの同時接種可能
 

小児用肺炎球菌ワクチン(不活化ワクチン)

小児の細菌性髄膜炎の起炎菌である。
肺炎球菌などに対するワクチンである。
生後2ヶ月より開始でき、年齢に応じて回数が決められる。
ヒブワクチンと同時接種可能であり、安全性高いものである。

ヒブワクチン 小児用肺炎球菌ワクチン 子宮頚がんワクチン
共に新しく任意接種に上げられるものであり、比較的認知度が低いかと思われる。


 
 

 

 予防接種をリストアップし、その説明解説をしてみたが、予防接種の種類、実施方法、年齢等多岐になっており、なかなか解り難いと思われる。特に、予防接種の実施は生後1ヶ月より開始され、生後1年までに、多種で回数も多くなっている。予め、各予防接種について主治医と相談し知識を得て、お子さんの年齢に応じて計画的に実施されることが望ましい。公費によるものは、通知によって行われる事がよいと思われるが、その他、任意の接種については主治医とよく相談され、お子さんにあったスケジュールを決める事がよいと思われる。
 任意の予防接種は回数の多いものもあり、価格がかなり高く自己負担が大きくなると思われる。しかし、予防接種により完全に疾患を予防し得た場合、子どものためにも、保護者のためにも、社会的にも恩恵は非常に大きいものと思われる。今後、任意の予防接種に挙げられているものも、公費負担に移行すべきと考えられ、その為の各方面の努力が必要であろう。
 予防接種はジェンナーが種痘にはじまり刻々と進化し、世界の医学を変えてきた。今後、次の世代を担う子どもたちを疾病から守り、感染症を撲滅できるよう医学の発達と共に、予防接種も更に研究され、より安全な予防法が進められるように望みたい。おそらく、時を経ずして、次々と新しい展開が見られる事となるだろう。
 非常につたない不備な説明であったかも知れないが、予防接種の概略を述べ、少しでも予防接種の理解に役立てて頂きたい。尚、詳しくはその都度、対応される事が望ましく思われる。   

福井市小児科医会会長  笠原 智寿子 氏                                

お問合せ先

福井市 福祉部 子育て支援課
電話番号:0776-20-5270/FAX番号:0776-20-5490
最終更新日:2010年4月14日

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