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Vol.3 キシリトールっていったい…?

最終更新日:2010年6月10日

歯ブラシとコップのイラスト  むし歯の細菌は、餌となる糖質が口腔内にはいると約3分以内に酸を出し始め歯を脱灰(歯を溶かしてむし歯にする作用)すると言われています。皆様の中で食事をしてからこのような短時間のうちにブラッシング等の口腔ケアをされている方は皆無だと思います。それでも、皆様すべてがむし歯になっているわけではありません。これは再石灰化(歯を修復する作用)という免疫作用があるからで、これは食事時に分泌が促進される唾液による作用です。これらのバランスが保たれていることによって健康な状態が維持されており、むし歯は細菌による感染症だと言えます。

 近年、いろいろなものにキシリトールが配合されています。キシリトールが配合されているものとそれ以外のものがあった場合、多くの方々はキシリトールが配合されているものを選ばれるようです。

 「キシリトールを食べて歯の再石灰化を!」というフレーズを近年よく聞きますが、実はキシリトール自体に歯を再石灰化させる作用はありません。最初に記してありますが、むし歯の細菌が酸を出せないキシリトールによって出された唾液によって行われる間接的な作用だと言えます。つまり、むし歯の細菌が酸を作れずに唾液の分泌を促進できるようなものであれば、なんでもキシリトールと同じような再石灰化作用が期待出来ると言えます。

 では、なぜ数多くある代用甘味料の中で、キシリトールだけが注目されるのでしょうか?

 むし歯の細菌は、餌となる糖質を摂取することにより歯を溶かす酸を排出しますが、キシリトールを摂取した場合、キシリトールを分解消化する酵素を持ち合わせていないむし歯の細菌は、摂取したキシリトールから栄養を摂取することなくそのまま排出するしかなく、歯を溶かす酸も出せません。これ以外の代用甘味料の中で、むし歯の細菌が餌とはみなさず摂取しないものや摂取しても消化分解しづらく、微量な酸しか出せないものはありますが、むし歯の細菌が餌として摂取しても全く分解消化できず酸も排出できない代用甘味料はキシリトールしか存在しないのです。わかりやすく解説すると、我々が食べ物だとみなさない、または、消化しづらい食べ物だと思って食べたら消化できずに下痢をしてしまうものだと思ってください。

 つまりキシリトールはむし歯の細菌にとっては毒であるといえます。このような作用も共なり、糖質摂取後、爆発的に増殖したむし歯の細菌を減少させ、それにともなう作用を抑え免疫に有利な環境に導きます。

 また、適量を継続摂取した場合に得られる効果として、口の中の細菌相の変化があります。元々口の中には、キシリトール非感受性菌(元々キシリトールを餌としてみない賢い細菌で他の細菌と比較して酸など排出能力が著しく低い細菌)と呼ばれる細菌が10%程度存在すると言われていますが、3ヶ月以上継続的に使用することによりこの比率が逆転し、90%程度まで上昇し、むし歯になりにくい細菌相に変化してきます。目安として、この現象は、毎食後に市販のキシリトールガムを2粒程度を、5~10分程度噛むとみられると言われています。

 キシリトールの性質上、人が摂取してもうまく消化吸収できるものではありませんので、最近ではこのような性質を利用して糖尿病の方やダイエットをされているような方にも有効に活用されているようです。また、個人差はありますが過剰摂取することにより、下痢を起こすような方もまれにおられるようですが、キシリトールに限らずなんでも過剰に摂取すればかえって健康を害することになります。また、ひとつの予防手段にとらわれ、ブラッシングや食習慣等基本的な予防手段をおろそかにしてしまえば、かえって悪い結果を招くことにもなります。このような事を踏まえて頂いた上で、上手にキシリトールも利用していきましょう。 

福井市歯科医師会

歯の心得

※ 本文は歯科医療の観点より記載されております。


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お問合せ先

福井市 福祉部 子育て支援課
電話番号:0776-20-5270/FAX番号:0776-20-5490
最終更新日:2010年6月10日

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