〇「RSウイルス」とは
お子さまをお持ちの方は、一度は耳にしたことがあるかもしれません。RSウイルスは、年齢を問わず風邪などの症状を引き起こすウイルスで、乳幼児(生後0日から小学校入学前)のおよそ7割が生後1年以内に感染し、2歳までに全ての子供が感染するとされています。
どこでもいる一般的なウイルスから熱や咳など風邪のような症状が出る病気で、大人になるまで何度もかかり免疫を獲得します。免疫のでき方が弱いため繰り返し感染しますが、回数が増えるほど症状は軽くなり、2歳以上では「鼻風邪」程度で済むことがほとんどです。
しかし、免疫を持たない小さな子供が初めてRSウイルスに感染すると、肺炎や気管支炎を起こして重症化することもあります。特に、新生児(生後4週間まで)、乳幼児期(特に1歳未満)では重篤な症状を引き起こすことがあるため、注意が必要です。
1流行時期
通常、冬を中心に秋から春にかけてみられますが、近年では流行時期が早まっており、8月からの流行もみられます。
2主な症状(咳、発熱、喘鳴、嘔吐、分泌物)
・咳
激しい痰がらみの咳
・発熱
38度から39度台
・喘鳴
呼吸音がぜいぜいする
・嘔吐
せき込み嘔吐する
・分泌物
鼻水、痰が多い
3感染経路
RSウイルスの感染経路は、飛沫感染・接触感染です。
接触感染対策として、子供が日常的に触れるおもちゃや手すりなどをこまめにアルコールや塩素系の消毒剤などで消毒し、流水・石鹸による手洗い、またはアルコールによる手指衛生が重要です。
4治療方法
RSウイルスには抗ウイルス薬などの特効薬はなく、治療は基本的に対症療法(酸素投与、点滴、呼吸管理など症状を和らげる治療)になります。
5まとめ
RSウイルスは、新生児や乳幼児など免疫を持たない小さな子供が初めて感染すると、肺炎や気管支炎を起こして重症化することがありますので、注意が必要です。ご家庭にRSウイルスの疑いがある方がいる場合には、マスクが着用できる年齢の子供や大人は感染対策に心がけてください。
2歳以上では「鼻風邪」程度で済むことがほとんどですので、慌てずにかかりつけ医に受診しましょう。
また、コロナウイルス感染症やインフルエンザなどに似た症状もあるので、クラスターを作らないためにも医療機関を受診して検査をするようにしてください。コロナウイルス感染症やインフルエンザの検査を行い感染が否定されれば、流行状況などにより、RSウイルスの「疑い診断」となります。