救急隊が到着するまでの間、積極的な応急処置が必要な場面ばかりではありません。安静に保ち、寄り添いながら待つ場面もあることでしょう。そのようなときのために、「体位の管理」について見ていきましょう。
1 体位とは
体位とは、身体の位置や姿勢のことです。急な病気やけがを負った場合、その状況に適した体位をとることで、苦痛の軽減と症状悪化の防止が期待できます。
お子さんに意識(反応)があり、自ら動くことができる場合は、本人が望む体位で安静を保ってください。
皆さんもお腹が痛くなった時などは、うずくまったり、横になったりして楽な姿勢をとると思います。自ら動けないようであれば、お子さんが望む体位になるよう介助してあげましょう。
体位の無理な変更は症状を悪化させてしまうこともあるので、心肺停止などの一刻の猶予もない状況を除き、体位を変える際には前もって声をかけて、ゆっくりと行いましょう。特にお子さんが痛がったり、嫌がったりする場合には、より慎重に行ってください。
2 主な体位
(1) 仰臥位(ぎょうがい)
仰向けに寝かせた体位で、全身の筋肉などに無理な緊張を与えない自然な姿勢です。観察や手当が最もやりやすい体位です。
しかし、舌が喉に落ち込み、気道(空気の通り道)を塞いでしまうことがあります。また、仰臥位のまま嘔吐すると吐物による窒息の危険もあります。1歳未満の意識(反応)がないお子さんを平らな面で仰臥位にするときは、背中に折りたたんだシーツやタオルを敷きましょう。
(2) 回復体位
気道(空気の通り道)の閉塞を防ぐため、お子さんを横向きに寝かせた体位です。意識のないお子さんや、嘔吐しているお子さんの窒息の予防に適しています。意識がないお子さんをこの体位にした場合は、継続的に呼吸の状態を確認し、呼吸が停止したら直ちに仰臥位として心肺蘇生を開始しましょう。
(3)
上半身を起こした体位です。喘息などによって呼吸困難をきたしたお子さんに適しています。意識状態が悪化した場合は回復体位などにしましょう。