・お腹の下の痛み、異常な性器出血がある:妊娠初期(妊娠22週未満)に見られる子宮外妊娠の可能性があります。受精卵が本来着床するはずの子宮内膜に着床せず、卵管や頸管などに着床してしまうことです。基本的には、健診などで判明することがほとんどです。診断が遅れ、出血量が多くなると極度の貧血、低血圧、頻脈となりショック状態に陥り重症になることがあります。尿路感染が原因のひとつであり、頻尿や排尿痛、発熱、悪寒、血尿などの症状を伴った場合は早急に医療機関を受診するようにしてください。
・激しい頭痛、けいれん、失神:妊娠中に高血圧、尿蛋白を認める妊娠高血圧症候群の可能性があります。高血圧になると、頭痛やめまいなどの症状や、頭蓋内出血、意識消失、けいれんによる低酸素状態を伴う可能性があります。その中でも突然意識を失ったり、けいれんを生じたもっとも重い症状を子癇(しかん)といいます。また、胎児においても発育不良や常位胎盤早期剥離を起こすなど、胎児に生命の危険が及ぶことがありますので、そうした場合はすぐに119番通報するようにしてください。
・大量の異常な性器出血:妊娠中期以降に胎盤が内子宮口を覆っている状態で、内子宮口が徐々に開いてくると、突然、性器出血を起こす前置胎盤の可能性があります。出血が大量でも腹痛などの痛みを伴わないことが特徴です。最初は少量の出血でもいずれ大量出血を起こし、母子ともに生命の危険が及ぶことがありますので、早急に医療機関を受診するようにしてください。
・お腹の下の痛み、子宮が収縮して板のように硬い(板状硬):正常位置にある胎盤は、分娩時、胎児を娩出した後に自然に子宮壁から剥離しますが、妊娠中あるいは分娩前に剥離してしまう常位胎盤早期剥離の可能性があります。胎児への酸素の供給がなくなり、母体の出血が止まらなくなる可能性がありますので早急に医療機関を受診するようにしてください。
上記の症状、病気に気付いたときはもちろん、不安に思ったり、気分が良くないときには、すぐに医療機関を受診するか119番通報をしましょう。この他にもさまざまな妊娠中の病気がありますので、定期的に健診を受けるようにしましょう。