助産師ネットワークたねのメンバー塚原敦子です。出張専門の開業助産師として日々福井市を中心に駆け回っています。
最近子育て中のママたちから受ける相談の中で「赤ちゃんが夜中にひんぱんに目を覚ますので寝不足です。」というお悩みが目立ちます。心当たりのある方もおおくいらっしゃることでしょう。
ということで、今回は「赤ちゃんの睡眠」についてお話しすることにしましょう。
まず、赤ちゃんと大人の眠り方の違いについて考えてみます。
大人の睡眠の場合、たった2~3分で眠りの状態におちます(ノンレム睡眠)。しかもその後1時間半にわたってもっとも深い睡眠状態に入ります。そのまた1時間半後には、眠りながらも脳は目覚めはじめ、身体はリラックスしているけれど脳は活動的な状態(レム睡眠)に変わります。つまり、大人はレム睡眠とノンレム睡眠を90分かけて行き来し、睡眠のサイクルが長~いのです。
では、赤ちゃんはどうか?
赤ちゃんの場合、大人とは違いウトウトする状態が長めに続き、その後に深い眠りに入ります。赤ちゃんが小さければ小さいほど深い眠りにつくのに時間がかかります(約20~30分)。そして、このウトウトしている時は本当に眠っている状態とはいえないのです。そして、睡眠のサイクルも大人に比べ短く、レム睡眠とノンレム睡眠が交代する時には目覚めやすい上、眠りの大部分がレム睡眠(脳が活動的な眠り)なのです。つまり、赤ちゃんは刺激(大きな音、空腹や寒さなど)で目を覚ましやすい眠りをしているということです。
では、なぜ赤ちゃんはこのような眠り方をしているのでしょう?
実は、これにはちゃんとした理由があります。それはズバリ・・・赤ちゃんだからです。
考えてみてください。人間の赤ちゃんは他のほ乳類動物の赤ちゃんに比べ未熟な状態でうまれてきます。自分で移動することもできず、お腹が空いても消化できる量が限られているためにおっぱいを何度も飲まなければなりません。常に誰かの助けがなければ生きていけないのです。なので、成長し生きていくのに必要なことを、育ててくれる人にお知らせができるように目を覚ましやすくなっています。たとえば、「お腹が空いたよ~」「寒いよ~」「暑いよ~」「鼻がつまって息苦しいよ~」「さみしいよ~」などなど。赤ちゃんの場合、夜起きることには何かのサインを出しているという意味があるのです。
上記のように必要があっての赤ちゃんの眠り方ということはわかっていただけたでしょうか。でもだからといって寝不足が解決するわけではありませんよね。じゃあ、赤ちゃんが眠ってくれるために何かできないものか?寝不足解消法は?とお思いでしょう。
そんな方は、少し日中のすごし方を振り返ってみてください。たとえば月齢が大きくなればなるほど体力もついてくるため活動量も増えます。1日中家でじっとしているだけでは疲れることがないため、赤ちゃんはそれほど休息を必要としません。お散歩・ベビーマッサージ(「Vol.5、ベビーマッサージ」参照)など心地よく身体を動かしてあげてみましょう。また、赤ちゃんにはそれぞれの個性があります。そして、眠りにも赤ちゃんのタイプが影響します。ふれてもらったり、おっぱいを吸うことを人一倍求める子は、成長するためにそうしてもらうことが必要なのです。そんな場合は、日中のお昼寝時に赤ちゃんと一緒に眠りましょう。身体を横にするだけでもいいでしょう。家事など手伝ってもらえそうなら誰かにお願いし、なるべく身体を休めます。
夜に何度も目を覚ます赤ちゃんに付き合うのは本当に大変ですが、そんな赤ちゃんも1日1日成長しています。そして、そのスピードはあなたが考えているよりも早いものです。いずれ赤ちゃんは「赤ちゃん」ではなくなり、必ず1人で眠りにつけるようになり、よく寝てくれる日がやってきます。案外、出口は近いのかも知れません。
暑かった夏が過ぎ、過ごしやすい季節になりました。山は紅く染まり、空気も澄んでいます。
さぁ~気分転換に、家族みんなでお出かけしてみませんか?
あれこれ考えるよりも出かけてみると、よく眠れるかもしれませんよ~。
『助産師ネットワークたね』 塚原 敦子