生えたての奥歯は、溝が深く複雑で、歯ブラシが届きにくいため、食べかすやバイ菌がたまりやすい場所です。がんばって歯を磨いても溝の奥までブラシが届かず、どうしても虫歯になりやすい環境にあります。
溝をシーラント材でふさぐと、歯ブラシも当てやすく、汚れがたまりにくくなります。シーラント材には虫歯を予防するフッ素の効果も期待できます。ごく表面に限られた、初期の浅い虫歯の場合にも、削らずに塞ぐことで虫歯の進行を止めることができます。
シーラント材はレジンと呼ばれる光を当てて固めるタイプの樹脂を使用することが多いです。方法は、歯の表面や、溝に入り込んだ汚れをブラシで丁寧に取り除き、十分に乾燥させます。歯の表面にレジンをくっつきやすくするための酸処理をおこなって、シーラント材を流し込みます。光を当てて固めれば完了です。しかし、一度塞いだら二度と虫歯にならないわけではありません。定期的に経過を見て、フッ素塗布などを併用しながら、部分的に取れているところには、必要に応じて再びシーラントを行います。
生えたばかりの歯は幼若永久歯といって、溝が深く、表面も柔らかいため虫歯になりやすいという特徴があります。さらに、一番はじめに生えてくる永久歯は下の奥歯ですが、まだ乳歯だと思われている方も多いようです。永久歯は乳歯と違って失うと二度と生えてきませんから特別な手入れが必要だと言えます。平均すると5歳から6歳の間に顔を出してきますので、この時期になったら一度歯科で診察してもらうといいかもしれませんね。
奥歯が生えてきたらできるだけ早期にシーラントを行いましょう。
(なかひろ歯科クリニック 中廣 剛士)
(福井市歯科医師会)
※ 本文は歯科医療の観点より記載されております。