今回は、永久歯の先天性欠如についてご説明します。
小学校低学年のお子様をお持ちの方にとって、子供の歯がどのように生え代わっていくのか気になることと思います。
交換期に入ったにもかかわらず、永久歯が生えてこない、また乳歯がいつまでも抜けないでいることを親御さんが心配されて来院されるケースが多いようです。
また、学校歯科検診で歯の数の異常を指摘されて受診するケースもあります。
乳歯の下の永久歯の動きが遅く、歯の交換に手間取っているだけの場合も多いですが、時折永久歯そのものが先天的に欠損していることがあります。
この場合、全体的な歯のレントゲン写真(パノラマX線写真といいます)を撮影し、永久歯の数を調べます。
永久歯の先天性欠如の頻度は、上下の前歯の真ん中から数えて左右2番目、下の歯並びの前から5番目に見られることが多いですが、まれに他の部位にもみられます。
これらは片側に起きる場合もありますし、両側に起こることもあります。
原因は遺伝的なものや、人間の退化傾向にあることが指摘されていますが、今のところはっきりと特定されてはいません。
先天欠損が見られた場合、どのように対処したらよいのでしょうか。
小学校低学年の間は、虫歯等で乳歯が早期に脱落してしまうと隣の永久歯が先天性欠如しているスペースに倒れ込んでしまうこともありますので、乳歯の抜歯などは他の永久歯の交換の様子を見ながら慎重に対処します。
高学年になり、ほぼすべての永久歯がそろった頃に欠損がみつかった場合は、かみ合わせを整えながらスペースを閉じるのがよいでしょう。
まれに大人の方で永久歯の先天性欠如があり、乳歯が残っていることがあります。
このような場合、まずは乳歯の保存が可能か検討し、根がしっかりしていればそのまま経過をみることもあります。
保存が難しい場合は、かかりつけの歯医者さんと相談し、そのスペースの処理をブリッジ等の治療で検討するのが望まれます。
(矯正歯科誠クリニック 田中 滋)
(福井市歯科医師会)
※ 本文は歯科医療の観点より記載されております。