寝る子は育つとよく言いますが、よく噛む子も育ちます。何でも噛める歯は、子どもの成長に大きく関係しています。
例えば、よく噛んでゆっくり食べることで満腹中枢が刺激されて、食べすぎを防いで肥満の予防にもなります。そして、唾液がたくさん分泌されることでお口の中をきれいにし、この唾液の働きが虫歯を防ぐことにつながります。唾液の中には様々な免疫が備わっていて、自分の唾液の状態を知り、どのような予防をしていけばいいのかを把握することはとても良いことです。その為に唾液検査というのは有効です。
また、何でも噛める歯でいるために毎日の歯磨きは欠かせません。プラーク(歯垢)を残さないよう毎食後の歯磨きを習慣にしましょう。歯磨きをするという行為は、口の中の菌を減らすということです。その為には歯ブラシ選びが重要です。
歯ブラシの大きさは、上の奥歯の頬側に歯ブラシがスムーズに奥まで入る大きさを選びましょう。歯ブラシの硬さは硬いものはダメで、歯と歯茎の間を磨いた時に痛くない硬さを選びましょう。歯ブラシが硬いと歯茎を傷つけてしまう恐れがあります。逆に、歯ブラシが軟らかいと歯周ポケットまで毛先が入り込んで歯の根元の歯垢を掻き出し易いのです。
ブラッシングの仕方は、ブラシを歯の面に垂直にあて、左右に細かく磨くようにしましょう。奥の内側を磨く時は、ブラシを斜めに入れて根元まで磨きましょう。トマトを歯ブラシで強くこすると、トマトの皮はむけてしまいます。それと同じように強く磨くと、歯自身も削れてしまうし、歯茎も傷つけてしまいます。歯ブラシの毛先が倒れないようなイメージで、優しくソフトに磨くように心がけましょう。上手に歯磨きをできることが最大の予防につながります。
予防は歯科医師、歯科衛生士だけが頑張ってもダメです。歯科医院のスタッフが一丸となって取り組み、そして患者さんも一緒になって頑張る事が大切です。「お任せしておけば大丈夫」ではダメです。患者さんと歯科医院のスタッフ全員が協力しあっていけば予防の効果は高くなります。そして、自分が疑問に思うことはすぐ先生やスタッフに聞きましょう。
人によって、お口の関心度や磨けていない理由は様々ですが、多くの人が生活習慣のひとつとして長年歯磨きをしています。できるだけ日常生活に負担の少ない方法で、効果的にプラークコントロールができるようなプランを立ててくれる歯科医院選びが良いのではないかと思います。
(ヒロ歯科クリニック 吉田 裕朗 先生)
(福井市歯科医師会)
※ 本文は歯科医療の観点より記載されております。