乳歯から永久歯の生え変わりは、中学生の頃にたいていは完了します。ところが、それ以降も乳歯が長く存在することがあります。これを、乳歯の晩期残存といいます。
乳 歯 | 生 え て く る 時 期 | 抜 け る 時 期 |
A (乳中切歯) | 6~7ヶ月 | 6~8歳 |
B (乳側切歯) | 7~8ヶ月 | 7~9歳 |
C (乳犬歯) | 16~20ヶ月 | 9~12歳 |
D (第一乳臼歯) | 12~16ヶ月 | 10~12歳 |
E (第二乳臼歯) | 20~30ヶ月 | 10~12歳 |
ただ遅れている場合
本来の時期よりもかなり遅くなってもいずれ生えてきそうな場合を萌出遅延といいます。ただ、片方の同名永久歯が生えて半年以上経過している場合は抜去した方が良いこともあります。左右の歯を見比べてみて、もう片一方の乳歯が抜けていないか見るのも有効です。
何らかの原因で乳歯が抜けない場合
物理的に永久歯の生え変わりを阻害している過剰歯や歯の塊が入った腫瘍(歯牙腫)などが存在したり、永久歯の位置や形態に異常があり、生え変わりが上手くいかない事があります。前者では、小手術で原因を除去、後者では、乳歯抜歯後、必要に応じて矯正的な牽引処置を行うことがあります。
永久歯が生まれつきない場合
後から生える永久歯がないと乳歯の歯根は吸収されずにそのまま残ります。ただ、残念なことに乳歯はあまり長持ちしてくれません。一般的に30歳前後で抜ける事が多いようです。いずれ抜けてしまう乳歯を抜かずに現状維持で使い続け、ダメになった時に抜いてインプラントやブリッジなどの歯を補う処置を行うか、乳歯を抜いてしまい、その空隙を永久歯を矯正することにより埋めて将来に備えるか、難しい選択をせまられます。
いずれにせよ、生え変わる時期を過ぎても乳歯が残っている場合、歯並びに悪影響を与えることがあるので、生え変わるのが遅い、永久歯が生えてこないなどの場合は、早めに歯科医院でレントゲンを撮ってもらい、下の永久歯の状態を確認してもらった方が良いでしょう。
(ふなばし歯科クリニック 小笠原祥子 先生)
(福井市歯科医師会)
※ 本文は歯科医療の観点より記載されております。