歯ぎしりとは、上下の歯をギリギリとすり合わせたり、グッと食いしばったりすることを言い、専門用語では「ブラキシズム」と呼ばれます。
歯ぎしりは口腔異常習癖の一種です。誰でもしている一種のくせと考えてよいと思います。上の歯と下の歯を擦り合わせてギリギリと音を立てる「歯ぎしり」は一般的でわかりやすいのですが、ほとんど音を出さず、ぐっとかみこむ「かみしめ」や歯と歯を触れ合わせてガタガタ、カチカチと音をさせる「タッピング」と言われるものも「歯ぎしり」に含まれます。
睡眠中の「歯ぎしり」は誰にでもみられるものです。こうした歯ぎしりの動作を、普通の健康な人でも8時間の睡眠中に15分ほどしているといわれています。特に、歯ぎしりをする癖のある人たちは、平均40分にもわたっており、ひどい人では、1時間45分も歯ぎしりをする人もいるといいます。
歯ぎしりは決して特異なことではありません。特に問題を起こさない限り、放置しても構わないのですが、時には次のような問題を起こします。
上記の症状のすべてが、「歯ぎしり」「噛みしめ」からくるわけではありませんが、無用な悪いくせはなくしておく方がよいと思います。しかし、このくせは眠っている時とか、何かに夢中になっている時とかに起こるので気づきにくいし、治すのも同じ理由で治りにくいものです。
通常歯が強くかみ合わされるのは食事の時間だけです。
ほとんどの方が通常は軽く歯を閉じている状態だと思います。しかし、その他の時間にもきつく噛み合わせていることの多い人は、よくない咬合癖を持っていると考えられます。歯ぎしりをする人は、そういった癖を持っていることが多いといわれていますので、まず自分がそういう癖がないかどうか、注意してみましょう。
特に、集中している時や緊張している時に強く噛みあわせてしまうことが多いようです。そういった癖がある場合は、気がついたら食いしばりを緩めてリラックスするよう心がけ、意識して癖をなくしていくようにしましょう。
噛む筋肉を体操などで緩めるのも効果的です。
ゆったりとあくびをすること(あくびは人工的にだすこともできます)がとても良いのですが、体操による筋肉のゆるめかたもあります。
まず、顎の筋肉を伸ばすように下顎を前にゆっくりと突き出します。そのまま少しためた後、一気に力を抜きます。この動作を2~3回繰り替えします。痛みを感じない程度に無理なく行うことがポイントです。それから、顔の筋肉を外に引っ張るように、ゆっくりと口を横に開きます。2回繰り返したあと、手を後ろに組んで頭を前に倒しながら、口を大きく開けます。この動作で、顎・首・肩・背中の筋肉を伸ばし、ほぐすことができます。
1 .枕を低くしましょう。
後頭の一番出っ張ったところより首の付け根近くに枕をするようにします。そうすると頭が少し上を向くので,ロが開きやすくなるからです。おもに仰向けに寝る人は、バスタオルをロール状に巻いて長い枕をつくるのも良いでしょう。横向きに寝る人は、背筋がまっすぐになる高さにしてください。
2. 布団に入ったら何も考えないようにしてください。
布団の中は眠るだけの所と決めてください。もし、どうしても考えることがあれば、もう一度、布団から出て考えてください。あるいは、朝、目覚めてから布団のなかで考える習慣をつけるとよい考えがでてきます。
3.まず、思い切り噛みしめてみてください。
1~2秒後に、フッと顎の力を一度に全部抜いてみてください。わずかにロが開くと思います。その位置が理想約なリラックスした位置で、このまま一晩中眠ってくれるといちばん良いのです。
次に、思い切り大きな口を開いてから、今度はガクンと脱力してみてください。たぶん、ほぼ同じ位置に顎が閉じるだろうと思います。ただし、顎の関節が痛くて開けない人は無理せず開けられる所まででいいです。
4. この時、呼吸を一緒に合わせると良いと思います。つまり、力を入れるときに息を吸って、いったん1~2秒止めてから、脱カする時に一気にはくのです。
5.次に、肩に思い切り力を入れて、1~2秒してから突然脱力してください。この時も呼吸を合わせてください。同じように、胸、腹、太ももの脱力をして、最後に足の先からその日のすべての疲れとストレスを追い出してやるような気持ちで大きく息を吐き出しながら脱力します。何回もやっていると、手のひらや足の裏あたりが少し温かくなった感じがしてくるかもしれません。それをもっともっと感じてください。また、掛け布団が今までより重く感じたらうまく脱力できた証拠です。
6. 最後にもう一度、顎の力が抜けていることと、上下の歯がかみ合っていないことを確かめます。
(たにはた歯科クリニック 谷畠里誌 先生)
(福井市歯科医師会)
※ 本文は歯科医療の観点より記載されております。